【うつ病中期からリハビリ的に始める】ジョギング・ランニングの効果

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うつ病の症状がある程度安定してくると、

「少し動いてみようかな」だとか「落ちた体力を回復させたい」だとか、

多少意識し始めると思います。

今回は、「うつ病中期からリハビリ的に始めるジョギング・ランニング」をテーマに

ランニングの効果について調べてみました。

 

(ちなみに、ランニングとジョギングの違いは端的にいうと、走るスピードの速さです。

ジョギングの方が運動強度が軽めで、ランニングよりゆっくり進むことが特徴です。)

 

ランニングの効果

まず一般的にいわれるランニングの効果とは、

 

・足腰の強化

・全身持久力の向上(心肺機能の向上、疲れにくい体を作る)

・脂肪燃焼効果(ダイエット効果)

・ストレス解消効果(リラックス効果)とストレス耐性の向上

・集中力、記憶力、自己コントロール力の向上

・生活習慣病の予防、健康促進、美容効果(美肌効果など)

・汗が流れることによるデトックス効果

・適度の肉体疲労とリラックス効果による安眠効果

などです。

 

ランニングを行う時間の目安と頻度

ランニングの効果的な時間や頻度に関しては、大きく分けていくつか説があるが、

無難で無理がない説を挙げると、

 

健康や体力作りが目的の場合、

時間の目安は、ランニングでは20分以上〜30分。

(ジョギングでは30分以上が目安)

頻度は週3回程度が良いといわれている。

 

ちなみに、ランニングは1度始めると、なんだかんだ長時間走ったりしてしまうものだが、

45分以上走るとストレス解消効果よりもストレスホルモンの増加が心配される。

 

ストレスホルモン(コルチゾール)が増加すると、細胞や組織が酸化して、

若返りどころか老化が進むことが考えられるが、

週4回以上1時間程度が効果的だという説もあり、

アスリートや近所のランニングを趣味としたおじちゃんおばちゃんが若々しいのを見ると、

一概にそうともいえなそうなので、目的や体調に合わせて個人で調整することが大事だろう。

 

冒頭では、無難で無理がない説を挙げたが、他の説とのバランスをとって考えても、

時間や頻度は、

週3回前後、20分以上から1時間以内の範囲で収めて調整すると良い。

 

ただし、長時間走れば運動強度は高まり、

エネルギー消費や疲労、関節への負担が大きくなるのは確かなので、

うつ病中期のリハビリ的なランニングとしては負荷が重いと思われる。

 

ここで無理をして体調を崩したら元も子もないので、

週3回前後、30分前後をベースに負担にならない程度で行おう。

 

メンタルヘルスにおけるランニングの有益性

現時点では多くの研究で、

ランニングやジョギングなどの有酸素運動を適度に行うことは心身にとって有益で、

ストレス、うつ、パニック障害、不安障害、ADHD、依存症などに効くと言われている。

逆に適度な有酸素運動が心身にとって害であるという研究結果はない(と言われている)。

 

では、うつ病に対してはどのような有益性があるのかというと、

 

・社会復帰(復職)に向けた体力を作れる

・肉体的に強くなることで、精神的余裕が生まれる

・うつ症状の軽減、自律神経が整う

・脳にも良く、心理症状の改善に繋がる

・睡眠の質が向上する

・減退していた食欲を改善

・減薬に向けて有益に働く可能性がある

・うつ病の再発防止、予防効果がある

 

など。

 

なお、うつ病重度の場合はまずは休養。無理をすると悪化する危険性がある。

運動しないからうつ病になると言う説を発信している人もいるが、

少なくとも僕は無理な筋トレ、ランニングを続けた結果、うつ病が重症化した。

 

なので、あくまで、ランニングの有益性が期待できるのは、

うつ病軽度〜中度にあたる人、または、社会復帰を目指す段階にある人

であることを認識しておこう。

 

社会復帰(復職)に向けた体力を作れる〜復職をスムーズに〜

うつ病期間は休職や寝たきり、引きこもりがちなどで部屋で多くの時間を過ごしてきた人が多いと思うが、活動量が減っていたことによって体力も減少していると考えられる。

 

有酸素運動やランニングで徐々に体を慣らし、足腰の筋力や全身の持久力を取り戻していくことで、

社会復帰した時にちゃんとパフォーマンスを発揮できるようになる。

 

また体が強くなると、体力に支えられて精神的にも強くなり、

不安が軽減され、ストレス耐性や集中力も高まることがわかっている。

 

脳にも良い影響を与え、心理症状の改善にも役立つ

ランニングなどの有酸素運動は脳にも良い影響を与えることが数多くの研究で示されている。

ランニングをすることで分泌される脳内物質は主に、

 

・セロトニン

・ノルアドレナリン

・ドーパミン

・BDNF(脳由来神経栄養因子)

 

セロトニンとドーパミンは幸福ホルモンであり、

ノルアドレナリンの不足はうつ病の原因の一つと言われている。

これらが分泌されることでストレスホルモンの正常化が期待できる。

 

BDNFは記憶力、集中力、学習能力の向上、

ニューロンを新しく作り出し繋がりを強化するなどがあり、

要は、脳に活力を与える物質。

 

また、ランニングを続けると脳の海馬が大きくなることもわかっており、

認知機能が向上する。

 

他にも発想力、想像力が向上することがわかっている。

 

ランニングは脳科学の観点から見ても、

気分の安定や活力・パフォーマンスの向上が期待できる。

 

睡眠の質が向上する、減退していた食欲を改善

適度な肉体的疲労が睡眠を促すことはわかっていると思うので他の点でいうと、

 

・朝のランニングで日光を浴びることで体内時計がリセットされる、整う。

(日光でメラトニンが分泌され14〜16時間後に眠気が来るようになる。)

 

・朝のランニングで身体が目覚めて活動モードになり、日中に動きやすくなる。

(すなわち、やるべきことが早めに終わる。夜に適度な疲労感がくる。)

 

・ランニングのリラックス効果で交感神経の緊張が解けてよく眠れるようになる。

(セロトニンが睡眠障害を改善する)

 

ちなみに夜の方が深部体温の関係で、

身体が動く、パフォーマンスが上がる、

と言われているが、体温の上昇や気分の高揚を考えると、

夜のランニングは就寝3時間前には終えてることが望ましい。

 

食欲に関しては、

・セロトニンの分泌量が増すなどで、情緒のバランス・自律神経が整う

・血流が良くなることで腸内環境が良くなる

ことで食欲が増す(改善する)と言われている。

 

うつ病の減薬と再発防止効果

まだまだ研究の余地はあると言われているが、

ランニングなどの有酸素運動は、うつ病軽度〜中度、リハビリ段階の人に「運動療法」として用いられる。

 

運動療法は、ブルメンタール氏の研究、ミルコ・ウェグナー氏の研究(対象人数4万人)などから、

うつ病治療において、薬物療法と同等かそれ以上の効果があると確かめられ、

 

ゆえにうつ病治療の減薬段階で、薬を減らす手助けとしてランニングは効果があると考えられている。

 

また、これまで何度も述べてきたように、

ランニングは、うつ病を改善する脳内物質が分泌されることから再発防止・予防としての効果がある。

 

うつ病から復帰するためのランニングを効果的に行うコツ

「うつ病中期からリハビリ的に始めるジョギング・ランニング」をテーマに、

実際うつ病にランニングが(どの程度)効くのか、その効果について数多くの研究を調べたが、

結論としては、うつ病軽度・中等度・復帰の段階にある人にとっては、

ランニング(をはじめ適度な有酸素運動)は心身の健康・うつ病の改善と予防に効果がある

ということだった。

 

今回調べた研究では全てで、うつ病に対してランニングはポジティブな結果をもたらす、

と結論づけられていたが、

注意すべきは、うつ病軽度・中等度・復帰の段階にある人にとっては、ということ。

うつが重い場合は休養が大切で、絶対に無理に行ってはならない。

 

それから気になったことは、

多くの研究で、

・運動強度60〜80%

・週3回前後を6週間〜

でポジティブな効果がある、とされていたこと。

 

もちろん時々であってもやらないよりはやった方が良いのだが、

ランニングの効果をより実感したければある程度の頻度をある程度持続して行う必要がある。

 

ちなみに運動強度60〜80%がどの程度の運動かというと、

「ゆっくり」走るトレーニングに分類されるようで、心地よい程度に息が上がるくらいの運動。

(つまり普通にジョギング、ランニングを意識して走っていれば特に問題はない。)

 

 

以上がうつ病に対してランニングの効果をより実感するためのコツではあるのだが、

個人的には別にそれなりの頻度を持続させなくても構わないと思っている。

 

うつ病経験者としては、まずたった1回でもランニングができた、というだけで、

褒めたいと思いますし、素晴らしいと思います。

それにここに書いた効果だけでなく、自己肯定感が上がるなど、

他にもいろいろとポジティブな効果もあると思うので、

この記事を参考に、あまり難しく考えず、ともにチャレンジしていきましょう。